昨日まで隣で笑っていた友が死んだ。殺したのは、俺だ。

1861年、イングランド。ロンドン北西部ロクセスに位置する名門寄宿学校『ロクセス・スクール』。
弱冠26歳にしてロクセス校の校長となったH・J・バトラーは、自身もこの学校の生徒であった頃、告白を拒絶したがために親友を自殺させてしまった過去を持ち、十年経った今もその罪の意識に苦悩し続けていた。
ヴェテラン助教師B・E・ウェストコットのサポートを受けながら、校長に着任して早一年が経とうとしていた。
ある日、5年級の生徒が神妙な面持ちでバトラーのもとを訪れる。

「校長先生に、相談したいことがあるんです……」